※この記事は2026年6月時点の情報です。AIや検索の参照先・仕様は頻繁に変わります。訪日客の行動についても確立した統計が乏しいため、本記事は出所の確かなマクロ数字を1つだけ置き、ほかは定性的に整理しています。

外国人のお客さんを増やしたい。でも、何から手をつければいいのか分からない。そう感じている飲食店オーナーは少なくないと思います。

ヒントは、施策の前にそもそも訪日客が「どうやって店を探しているのか」を知ることにあります。日本人の感覚で「食べログに載っていれば見つけてもらえる」と考えていると、外国人客の探し方とズレているかもしれません。観光庁・JNTOの集計では、訪日客は2024年に約3,687万人(過去最高)、2025年には約4,268万人と初めて4,000万人を超えました。母数が大きいぶん、探され方のズレは取りこぼしの大きさに直結します。

訪日客は「予約せず、現地で気分で決める」ことが多い

まず押さえたいのが行動の前提です。旅行中の外国人は、あらかじめ全部の店を予約してくるわけではなく、その日の気分や歩いた先で店を決める場面が多いとされています。お腹が空いた、もう一軒だけ——そういう「その場の判断」が起点になります。

このとき開かれるのは紙のガイドブックではなく、手元のスマートフォンです。手段としては、次のあたりが中心になりつつあるとされています。

いずれも「目的地が決まっていない状態で、その場で探す」行動です。即興で決める旅行者が相手だからこそ、店側に効いてくるのは念入りな下調べでの見え方よりも、お腹が空いた瞬間にスマホの中でどう見えるか。その場の検索とAIでの見え方が、選ばれるかどうかをかなり左右します。

なお「AIで店を探す訪日客が増えている」という声も聞かれます。まだ確立した統計があるわけではないので、これからの動きとして押さえておくくらいがちょうどよいと思います。出所のはっきりしない「○○%が使っている」式の数字は、ここでは使いません。

探す道具は、国や言語で意外と違う

もう1つ見落とされがちなのが、訪日客がどのアプリで探すかは、出身地や言語でけっこう違うという点です。ざっくりした傾向ですが、目安として——

ここから言えるのは、日本国内で定番のグルメサイトが、外国人客のあいだでは必ずしも浸透していないということです。食べログのようなサービスは日本人の店選びに深く根付いていますが、海外から来た人には言語の壁や知名度の問題もあり、最初に開くアプリにはなりにくいとされています。

つまり「食べログで評価が高い=外国人客にも見つけてもらえる」とは限りません。日本人向けと外国人向けの集客チャネルは必ずしも同じではない。ここを混同すると、せっかくのインバウンド対策が空振りになりかねません。

「店名で直接探す」が起点になる

その場で探す旅行者でも、一度どこかで店名を知ると、次は店名で直接調べに来ます。SNSで見かけた、友人に教わった、宿のスタッフに勧められた——きっかけが何であれ、「この店名、どんな店だろう」と検索する瞬間が来ます。これがいわゆる指名検索です。

AIが店探しに入ってくる時代には、この指名検索が起点として重要になります。お客さんがあなたの店名をChatGPTやGoogleに打ち込んだとき、正しい場所・営業時間・どんな店かが、ちゃんと出てくるか。「情報が古い」「そもそも出てこない」となれば、せっかく名前まで届いたのに取りこぼします。逆に、店名で調べたら正確な情報がすっと出る店は、その時点で安心を渡せます(自店で出る情報の確かめ方はChatGPTに自店を聞いても出てこない理由で整理しています)。

では、どこに情報を置けば拾われるのか

訪日客に拾われたいなら、彼らが実際に使う場所に、正しい店舗情報を置いておくことに尽きます。その場所が複数にまたがるのがポイントです。

Googleのローカル検索(地図上での店舗の出やすさ)は、Googleビジネスプロフィールのヘルプによれば、おおまかに関連性・距離・視認性の3つの要因で決まるとされています。検索意図への合い方、距離の近さ、どれだけ広く知られているか。こうした要素が表示のされやすさに寄与しうる、という整理です。

一方、AIチャットでの店探しはしくみが少し異なります。たとえばChatGPTのローカル検索では、店舗データをFoursquare(OpenAIと2024年12月に提携)・YelpTripAdvisorといった第三者の情報源から取得し、地図表示にはMapboxを使っているとされます(2026年6月時点)。Googleマップを直接のデータ源・表示源にしているわけではない点に注意が必要です。バックエンドの検索は、かつてBingベースとされましたが、2025年8月のBing検索API廃止以降はGoogleのインデックスを参照しているとの報告もあり、流動的です(各AIがどこを見ているかの整理はAIはどうやって店を選んでいるのかへ)。

ここで誤解しやすいのが、「AIはGoogleマップを直接見ていないなら、Googleビジネスプロフィールは要らないのでは」という発想です。これは逆で、GBP単独では届かないからこそ、横断的に情報を載せておく必要がある、というのが旗です。GBPはGoogleの地図・検索に効き、Foursquare・Yelp・TripAdvisorはAIに効く。どれか1つではなく、複数の場所に正確な情報がそろっていてはじめて、地図アプリでもAIでも拾われやすくなります。

この「AI検索で見つけてもらうための整え方」は、日本のマーケティング界隈ではLLMOと呼ばれます(国際的にはGEO/AEOと呼ばれることが多い領域です)。やること自体はシンプルで、AIや地図が参照する場所に、正しい店舗情報を、外国人にも分かる形で置いておくことに尽きます。

今日からできる第一歩

完璧を目指す必要はありません。まずは1つだけ、手をつけてみてください。

写真の充実やメニューの多言語対応といった「来店の手前で離脱させない」具体策は、インバウンド集客(AI検索で外国人に見つけてもらう方法)にまとめています。この記事はあくまで、その手前の「どう探されているか」に集中しました。

FAQ

Q. 外国人客は食べログを見ていないのですか? A. まったく見ていないわけではありませんが、日本のグルメサイトは外国人に浸透しきっていないとされます。中国語圏なら大衆点評や小紅書(RED)、欧米ならGoogleマップやTripAdvisor、韓国ならNAVERやInstagramなど、出身地によって使う道具が違う点を押さえておくと整理しやすくなります。

Q. AIで店を探す外国人は増えているのですか? A. そうした声は聞かれますが、まだ確立した統計があるわけではありません。これからの動きの1つとして押さえつつ、過度に断定しないのが正確です。

Q. AIはGoogleマップを見ていないなら、Googleビジネスプロフィールは不要ですか? A. 逆です。ChatGPTのローカル検索はFoursquare・Yelp・TripAdvisorなどを参照しているとされ(2026年6月時点)、Googleマップを直接の情報源にしていないとされます。だからこそGBP単独では届かず、地図にもAIにも届くよう複数の場所へ横断的に情報を載せておく必要があります。


まずは、自分の店をGoogleマップで、そしてChatGPTのようなAIで検索してみるところから。そこに何が出てくるか(あるいは何も出てこないか)が、外国人客から見たいまの「探されたときの姿」です。店名で調べて正しい情報が出てくるか、その現状を知ることが第一歩になります。 (飲食店のAI集客・LLMOの全体像は飲食店のAI集客とは(ピラー)に、実務でどう進めるかはLLMOに取り組むと何が変わるのかにまとめています。)