※この記事は2026年6月時点の情報です。AI検索の参照先や仕様は頻繁に変わります。

「この辺で美味しいイタリアンある?」とAIに聞いて、出てきた店に行く。そんなお客さんが少しずつ増えています。ChatGPTやPerplexityに聞けば、理由付きで2〜3店をすすめてくれます。

ここでオーナーとして気になるのは、AIはどんな基準でその店を選んだのかという点です。自分の店が候補に入るのかどうかは、この中身を知らないと打ち手が決められません。この記事は、業務でAIを使う話ではなく、「お客さんがAIに店を聞いたとき、裏で何が起きているか」の話です。

AIは記憶からではなく「検索してから」店を出している

最初に1つ、誤解をほどいておきます。

「AIは学習した知識のなかから答えている」と思われがちですが、店をすすめる場面ではそうではありません。ChatGPTもPerplexityも、こうした質問を受けるとまずその場でWeb上の情報を探し、見つけた内容を読んでまとめ直して回答を作っています。頭のなかの記憶を語っているのではなく、検索した素材を要約して出している、という動きです。

ここが飲食店にとって効いてきます。従来のGoogle検索なら、お客さんはリンクの一覧から自分で店を選びました。10番目に出た店にもクリックの目はあります。ところがAIは、複数のページを読んだ上で候補を2〜3店に絞って差し出します。この形式では、要約のなかに名前が入らなければ、お客さんからは存在しないのと同じになります。

どのAIが、どこから店の情報を取っているのか

「AIが店を選ぶ」とひとくくりにされがちですが、サービスごとに見ている情報源は別物です。ここを混ぜて考えると、対策の方向がずれます。

ChatGPT のローカル検索は、店舗の情報をFoursquare・Yelp・TripAdvisorといった第三者プラットフォームから取得しているとされます(OpenAIは2024年12月にFoursquareとの提携を発表)。地図の表示にはMapboxを使っているとされます(2026年6月時点)。つまり、Googleマップそのものを表示・データの直接の供給元にしているわけではない、という構図です。

なお、ChatGPTのWeb検索のバックエンドについては、長くMicrosoft Bingベースとされてきましたが、Bing検索APIの提供終了(2025年8月)以降はGoogleのインデックスを参照しているという調査報告もあり、現状は流動的です。ここは断定できる段階にありません。参照先がこのレベルで動くこと自体、特定の1サービスに賭けない方がよい理由でもあります。

Perplexity は、質問のたびにその時点でWeb検索を行い、回答に出典リンクを付けて返すのが特徴です。どのページを根拠にしたかが見えるので、「なぜこの店が選ばれたのか」を逆算しやすいサービスです。ただし、店舗データを具体的にどこから引いているかまでは公開されておらず、そこは断定できません。

Google AI Overviews(検索結果の上に出るAIの要約)はGeminiをベースに、Web上の複数のソースを検索した上で要約し、参照元へのリンクを示します。飲食店をGoogleビジネスプロフィールから直接推薦しているのか、という点は公表情報からは確認できないため、ここは断定を避けます。

Claude がローカルの店推薦をどう組み立てているかは、公開情報が限られており、現時点では断定できません。

ひとつ補足を。同業の解説記事には「AIはGoogleビジネスプロフィールを最優先で参照する」と書かれていることがありますが、これを裏づける一次情報は確認できていません。少なくともChatGPTについては上で見た通り、参照先は第三者プラットフォーム側にあるとされます。Googleビジネスプロフィールの整備は無駄ではありません——ただしそれ単独で全AIに届くわけではなく、Foursquare・Yelp・TripAdvisorといった先への横断登録と、情報の一貫性のほうが要になる、というのが実態に近い理解です。

GEO(生成エンジン最適化)という考え方

こうした「AIに引用してもらうための整え方」を、海外ではGEO(Generative Engine Optimization/生成エンジン最適化)やAEO(Answer Engine Optimization)と呼びます。日本では同じ取り組みがLLMOという呼称で広まりました。LLMOは日本のマーケティング業界で定着した言い方で、国際的にはGEO/AEOが使われている、という関係です。

GEOは学術論文を出発点とする概念で、2023年11月に投稿された論文「GEO: Generative Engine Optimization」(Aggarwal et al.、arXiv:2311.09735、データマイニングの国際会議KDD 2024に採択)で提唱されました。検索エンジン向けのSEOを、AIに要約・引用してもらう向けに作り替えた考え方、と捉えると分かりやすいです。

飲食店がAIに拾われやすくなるには

では、要約に名前を入れてもらうには何をすればいいのか。土台はシンプルです。営業時間・住所・メニュー・価格といった基本情報を、検証できる具体的な形で、複数のソース間で食い違わせずに整えること。情報源によって営業時間が違っていると、AIはどれを信じてよいか決められず、要約から外れやすくなります(この書き方の具体はChatGPTに自分の店を聞いても出てこない理由でも触れています)。

参考までに、Googleのローカル検索では表示順を決める要因として関連性・距離・視認性(prominence)の3つが挙げられ、視認性はWebでの言及や口コミの数・評価にも基づくとされています(Googleビジネスプロフィール ヘルプ)。第三者ソースでの一貫した言及は、この視認性にも寄与しうる取り組みです。

口コミについては1点だけ。金銭や割引と引き換えに書いてもらう、関係者が利益相反で書くといった行為はGoogleのクチコミポリシー違反です。数を水増しする方向ではなく、実際の体験が積み上がる方向で取り組むのが、結局いちばん安全で効果も続きます。

まずは自分の店をAIに聞いてみる

仕組みの話を読むより、一度ご自分でAIに聞いてみるのが早いです。ChatGPTやPerplexityに「○○(地域)でおすすめの△△(業態)は?」と尋ねて、自店が出るか、競合がどう紹介されているか、何が根拠にされているかを見てみてください。出てこなければ、上で挙げた情報源のどこかが薄い、という手がかりになります。

各AIの参照先は今も動いています。1つの源だけ磨くより、お客さんの目に触れる複数のプラットフォームで情報を揃えておく——それが、参照先が変わっても効き続ける構えです。

(hebiwork.com/blog では、飲食店のAI集客まわりをテーマ別に整理しています。)