(AI検索の仕様は変化が速い領域です。本記事は2026年6月時点の公開情報に基づきます。各サービスの参照ソースは今後変わる可能性があります。)
「MEOは何年もやっている。最近よく聞く"LLMO"は別物なのか。追加で何かやらないといけないのか」——MEOに取り組む飲食店オーナーから、こういう質問をよく受けます。
先に結論を言うと、MEOとLLMOは別の取り組みですが、競合ではなく補完の関係です。やめて乗り換えるものではなく、MEOの土台の上に積み増すイメージが近いです。この記事では、対比表と「同じ店が2つの場所でどう違って出るか」の実演で、その違いを整理します。
MEOとは(おさらい)/LLMOとは(新しい層)
MEOは、Googleマップやローカル検索(「平井 居酒屋」のような地域+業種の検索)で自店を上位に出す取り組みです。MEOは主に日本で使われる和製英語で、海外では「ローカルSEO(Local SEO)」と呼ばれます。中心はGoogleビジネスプロフィール(GBP)の整備です。Googleのローカル検索が店を選ぶ要因は、GBPのヘルプによると「関連性」「距離」「視認性(prominence)」の3つとされ、視認性には口コミの数や評価なども寄与しうるとされています。
LLMOは、ChatGPTのような大規模言語モデル(LLM)の回答の中に、自店が候補として出るようにする取り組みです。日本のマーケティング業界で使われ始めた呼称で、国際的にはGEO(Generative Engine Optimization)/AEO(Answer Engine Optimization)とも呼ばれます。GEOは2023年に投稿された研究論文(arXiv:2311.09735、KDD2024採択)で提案された概念です。
ざっくり言えば、MEOは地図の中での見え方、LLMOはAIの回答の中での見え方を整える取り組み、という違いです。
違いを対比表で整理する
| 観点 | MEO(ローカルSEO) | LLMO(GEO/AEO) |
|---|---|---|
| 対象 | Googleマップ/Googleのローカル検索 | ChatGPT・Gemini・Perplexityなどの回答 |
| 評価基準 | 関連性・距離・視認性(口コミの数や評価も寄与しうる) | AIが参照する複数ソースでの一貫性・言及量 |
| 成果の出方 | 地図検索での順位・表示回数として見えやすい | AIの回答に挙がるか。順位として測りにくい |
| 即効性(傾向) | 比較的早く動きが見えやすい | 中長期で効いてくる傾向 |
※この表はあくまで傾向です。日数や効果を保証するものではありません。
一番大事なのは評価基準と成果の出方の違いです。MEOがGoogleの世界で完結するのに対し、LLMOはGoogleの外にも広がります。なぜそう言えるのかを、次の実演で見てみます。
実演:同じ店が「Googleマップ」と「ChatGPT」でどう違って出るか
仮に、ある街に「店A」という焼鳥店があるとします。
左側=Googleマップで「○○駅 焼鳥」と検索した場合。 ユーザーには地図上にピンが立ち、店名・評価の星(たとえば★4.5)・口コミ件数・営業時間・写真が一覧で並びます。勝負どころは、GBPがどれだけ整っているか、口コミがどれだけ集まっているか、検索者との距離はどうか。まさにMEOの土俵です。
右側=ChatGPTに「○○駅の近くで、雰囲気がよくて1人でも入りやすい焼鳥屋を教えて」と質問した場合。 AIは地図ではなく、文章で「○○駅周辺では3軒ほどおすすめがあります」と要約して返してきます。ここで効いてくるのが、参照ソースの違いです。
ChatGPTのローカル検索は、店舗データをFoursquare(OpenAIと2024年12月に提携)・Yelp・TripAdvisorなどから取得し、地図表示にはMapboxを用いるとされ、Googleマップを直接のデータ/表示ソースにはしていないと見られます(2026年6月時点)。バックエンドはかつてBingベースとされましたが、2025年8月のBing検索API廃止以降はGoogleインデックス参照との報告もあり、流動的です。
つまり、GBPを完璧に整えても、その情報がそのままChatGPTの回答に反映されるとは限りません。「店A」がGoogleマップでは上位なのに、ChatGPTに聞くと名前すら挙がらない——このズレが実際に起こりえます。これがMEOとLLMOの違いの核心です。自店でこの「左右の出方」を並べてみると、何が足りないかが一目で分かります。
MEOをやっていればLLMOも自動で効く?
答えは「土台は共通するが、それだけでは不十分」です。
共通する土台は、店の基本情報(店名・住所・営業時間・メニュー・特徴)を正確に、矛盾なく出しておくこと。MEOで丁寧にやってきた店は、この精度が高い。MEOで整えた情報をAIが参照しうる関係はあり、その努力は無駄になりません。
ただし旗を1つ立てておきます。GBP単独では届きません。 AIはFoursquare・Yelp・TripAdvisorなど複数のソースを横断して見ているとされ、Googleだけ整えても他が空欄や古い情報のままだとちぐはぐになります。MEO(Googleマップ最適化)が即そのままAIに効く、と短絡しないこと。これがMEOとLLMOを分ける核心の1つです。加えてAIは「文章で語れる情報」を好みます。星4.5という数字だけでは、AIは「なぜこの店をすすめるか」を語れません。
巷の「煽り統計」について一言
念のため書いておきます。巷では「2026年末に検索が25%減る」といった数字が出回りますが、出典をたどれないものは本記事では使いません。LLMOは新しい領域なので、不安を煽る数字が独り歩きしがちです。判断は、煽りではなく「自店がいま実際にどう出ているか」を見てからで十分です。
よくある質問(FAQ)
Q. MEOをやめてLLMOに移行すべきですか? いいえ。MEOはLLMOの土台にもなるので、やめる必要はありません。維持しながらLLMOを足すのが現実的です。
Q. MEOをしっかりやっていれば、ChatGPTにも自動で出ますか? 基本情報の土台は共通しますが、自動で出るとは限りません。ChatGPTはFoursquare・Yelp・TripAdvisorなどGoogle以外のソースを参照するとされるため、複数ソースでの一貫した整備が別途必要です。
Q. LLMOは業者の煽りでは? 余計なコストでは? 気持ちは分かります。ただ実態として、LLMOの土台はMEOと共通で、追加でやることは「Google以外のソースも揃える」「文章で語れる情報を置く」が中心です。追加コストは大きくありません。 むしろ注意したいのは、LLMOを名目にした高額な"煽り価格"のほうです。まずは自店の現状を見てから、必要な分だけ手をつければ十分です。
「うちの店はGoogleマップでは出るのに、ChatGPTに聞いたらどう出るんだろう」と気になった方は、いくつかのAIに自店を質問してみてください。Googleマップとのズレが見えてきます。ご自身で試してみて引っかかる点があれば、気軽にご相談ください。 → hebiwork.com/restaurant